冬コミ

応援していただいている皆様、申し訳ございません。
冬コミ、残念ながら落選してしまいました。

現在、来年3月に開催される春コミに申し込み準備中です。

せっかく伸びたので何かおまけ的なもの作ります!?

『人狼‐ヴェアヴォルフ‐』 1

 ただ、気まぐれにその森を訪れただけだった。
 自分と同じ種族。
 昔よりも激減しつつあるといわれる一族が、異様なまでに執着し続ける地。
 興味を惹かれ、海を越え、その地に降り立った。

『できそこない!』

『できそこない!』

 罵る声が聞こえてくる。
 ゆっくりと顔をめぐらせば、数人の子供が何かを囲んでいる。近づいてみると、それは囲んでいる子供よりも一回り小さな子供だ。
 人狼には珍しい金糸の髪をしている。

 ふと、子供の一人が視線を感じたのか自分を見た。それにつられる様に、金糸の髪の子も顔を上げる。
 ほう、と息が漏れた。
 金糸の髪の子の瞳は、美しい青だった。

 ゆっくりと目を開けたヴォルフは、軽い倦怠感と頭痛を覚えた。
 顔をしかめると、視界の端に水が入った木の器と一羽の大鴉の姿が目に入る。

「ヴォルフ様、お顔色がよろしくありませんよ?」

 小首を傾げて見せるのは、処女雪を思わせるほど真っ白な大鴉だった。
 心配そうに覗き込んでくるその頭を指先で優しくなでると、気持ち良さそうに目を細める。

「ダニエラが気にするほどじゃない」

 白い大鴉―ダニエラは足元に置かれた木の器をヴォルフに勧めるように嘴でつついた。
 ヴォルフは木の器を片手で持つと口をつけて水を一気に飲み干した。顎から喉へとこぼれた水を拭う気にもなれず、クッションに身を預ける。

「あれほどお止め下さいと言ったのに、お酒をお飲みになられるからですよ」

 小言の後、バサバサという大きな羽音と共に、外から黒い塊が部屋の中に飛び込んでくる。
 床へと降り立ったのは一羽の大鴉だった。ダニエラよりも一回り大きい。

「煩いのが帰ってきた」

 黒い大鴉―ヘルマンはヴォルフの言葉に大きく翼を広げ、声を荒げた。

「主!!」

「そう、叫ぶな。聞こえている」

「まったく、フラリと消えたかと思えば、酒に酔って帰ってくるとは……」

「仕方ないだろ、喉が渇いてしょうがないんだ」

 そう言ってぐったりとクッションにもたれかかる。

「主様、あなた様のお相手を申し出る淑女の方々がいらっしゃるのですが………」

「淑女?」
 ヘルマンの言葉にヴォルフは一笑した。

「あいつらのどこが淑女だよ。ただ、森の王者のつがいなんて名ばかりの存在になりたいだけだろ」

「そうでしょう……しかし、お世継ぎが必要なのも確かなのでは?」

 この森は、人狼は、王によって守られている。

「………世継ぎなんていらないだろ、そのうち産まれる。俺もそうだったからな、群れの長でもないただの人狼の子だ」

「より、力のある王を。そう望むのは、どの種族も同じかと」

 ヘルマンの言葉にヴォルフは目を細めると、ヘルマンの頭を軽く撫でた。

「ですえけど、あのお嬢様には困ったものですわ」

 珍しくダニエラが困ったように小さく息を吐いた。

「あのお嬢様?」

「フレデリカ、様だったでしょうか?伴侶だと言いふらしているんです。それに、アルトゥール様に暴言を吐きますのよ?」

「ああ、あの小娘か………へぇ」

 ふと、物音が聞こえ視線を戸口へと視線を向けると金糸の髪がチラついた。

PV公開

PVが完成しました!
Galleryにあります。
是非ご覧ください。

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